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46. ブラック企業にさせない責任

46. ブラック企業にさせない責任

英国現代奴隷法に関する啓発活動

「奴隷」という言葉はいまや世界から根絶したかに見えますが、実はカタチを変え社会のなかに根深く残っています。
2016年、イギリスの大手建設会社であるB社が人材派遣会社のAdvantage Resourcingとの四半期定例ミーティングで相談を持ちかけてきました。「どうすれば、現代の奴隷的制度を建設現場から根絶できるでしょうか?」

B社では従業員の労働環境を守るための包括的な指針が定められていました。しかしそれは正社員向けのもので、非正規雇用の労働者たちを守る仕組みは十分に整備されていませんでした。彼らが劣悪な環境で働かされる状況を作らないために、できることがあるのではないかと考えていたのです。

B社からの課題共有を受けて、Advantage Resourcingは、B社で働く何千人もの非正規雇用者を守るための対策を話し合いました。Advantage Resourcingのマネージングディレクターであるシャーロッテ・フィッシャーは、次のように語ります。

「欧州21ヶ国中9ヶ国で、建設業は不当な労働環境が生まれやすい業界のひとつとなっています。これは旧来からの労働慣行と、サプライチェーンの管理方法に起因する深刻な問題なのです」

Advantage Resourcingは現代の奴隷的制度対策に詳しい専門家をチームに招き入れました。B社と共同で、正社員向けの指針をベースに、サプライチェーン全体をカバーする対策一覧をまとめました。「私たちとの多くの会議を経て、B社はサプライチェーン全体の管理指針を作成しました。そして、Advantage ResourcingがB社の代理として関係会社の管理体制をチェックする仕組みを導入しました。そのためのチェックリストや監視のプロセスを整備し、社員研修なども導入することにしました」とシャーロッテ。

新しい指針では、B社の業務に携わる関係会社の従業員が、不当な労働や人身売買の被害にあっていないことを証明するために、関係会社に「現代の奴隷的制度を防ぐ誓約書」の提出を求めています。関係各社は、従業員の給与が公平かつ適切に支払われている証拠も提出しなければなりません。法律で規定された最低賃金が支払われていることはもちろん、食事、住居、借金などの名目で、給与から一切の天引きが行われていないか、従業員の銀行口座や住所などのデータも提出してもらい、チェックします。

また、被害の兆候となる状況をリスト化し、問題をすばやく発見できるように以下のチェックリストを設けました。

  • 従業員本人を示す法的文書を本人が所持していない
  • 他の従業員と同じ銀行口座に給与が振り込まれている
  • 毎日、他の従業員の集団と一緒に送迎されている
  • 栄養失調、身なりが整っていない、ひきこもりがちに見える
  • 自分の意見を主張せず、怯えているように見える
  • 負傷しても医療機関に行かない
  • 警察や移民局などの当局に恐れを抱いている

 

従業員向けの内部告発用の電話番号も設け、関係会社の意識も高まっていきました。

さらにAdvantage Resourcingは、Sustainability Supply Chain Schoolと協力してB社の関係会社向けのセミナーを開催。2019年は、B社や関係各社の雇用責任者、他の人材派遣会社などを招待し、ほぼ全員が現代の奴隷的制度の存在に理解を深め、問題意識が高まったと振り返りました。
国際労働機関(ILO)によれば、世界中で1600万人以上の人々が、家事手伝いや建設業、農業など非正規雇用に依存しがちな産業を中心に民間企業での強制労働から抜け出せない状況にあると言います。Advantage ResourcingとB社は啓発活動を継続すべく、今年も同様のセミナーを計画しています。
この取り組みは、業界内にも影響を与え始めているとシャーロッテは語ります。「建設業界向けのとある人材派遣会社が、私たちの取り組みに高い関心を示しました。現代の奴隷問題に立ち向かうベストプラクティスであるとして、協力を要請してくれたのです。問題への関心はさらに高まっているので、この流れを大事にして、現代の奴隷的制度を一掃するため各社との連携をさらに進めていきたいです」

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“少しずつ、前へ”

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